マネージド SD-WAN サービスをシンプルかつフレキシブルにする uCPE

Karl Mörner

先日、私は『SDN NFV World Congress』で講演を行いました。その中で、第 2 世代の SD-WAN の特長は、サービス・プロバイダが業界分野別にカスタマイズした SD-WAN サービスを提供できる点だということをお話ししました。講演のまとめとして、このブログ記事では、その仕組み、そしてなぜこれらが重要かについて説明します。

ここ数年間、多くのサービス・プロバイダがエンタープライズ・ネットワーク・ポートフォリオに SD-WAN サービスを加えました。これまで、そうした SD-WAN サービスは、ハードウェアとソフトウェアを統合したグレー・ボックスなどの形で、単一ベンダーによるソリューションとしてデプロイされることがほとんどでした。これは、第 1 世代の SD-WAN と呼ばれ、多くの場合マネージド・サービスとして提供されています。SD-WAN のおかげで、多くの企業ユーザーがマルチリンク機能や集中型マネジメントなどの機能から恩恵を受け、ネットワーク・パフォーマンスの向上や全体的なコストの削減などを実現しました。

1 つのサイズではすべてに対応することはできない

私が見たところでは、SD-WAN の経験値を積んだ企業ユーザーほど、自分たちが望むソリューションについて明確な要件を持つ傾向があります。企業は、ビジネスを最適な方法でサポートしてくれる特性、機能、価格ポイントを備えたネットワーク・ソリューションを求めています。数年前には SD-WAN だけで十分と考えていたものが、今日ではサービス・プロバイダの提供するサービスに対して、より細部にわたる調整を要求するようになりました。

すべての企業が同じネットワーク・パフォーマンス、信頼性、セキュリティ、ネットワーク機能を SD-WAN ソリューションに求めているわけではありません。そうした要件は、企業が使用するネットワークによって異なります。同じような事業を行っている企業は、類似した要件を持つ可能性が高くなります。つまり、サービス・プロバイダから見れば、「工業」「金融」「小売」など業界分野別にカスタマイズしたソリューションを提供する機会が存在するということです。

多くの企業は、単一ベンダーによるソリューションには限界があること、また不要な機能が多々含まれており、そのオーバースペック分の料金も支払わなければならないことに気づき始めています。必要なものと実際に得ているものの間にギャップが生じているのです。業界分野に合わせてカスタマイズしたサービスは、「1 つのサイズですべてに対応する」ソリューションに比べて、企業ユーザーの要件への対応力が高く、エンド・ユーザーにより高い価値を提供することができます。

したがって、マネージド・サービス・プロバイダは、業界分野独自のニーズに応える必要があり、しかもこれをコスト効率よく行わなければなりません。

この複雑性に加え、多くの企業ユーザーは、サービス・プロバイダにアプローチする前に、すでに特定の SD-WAN ベンダーやセキュリティ・ベンダーに委託しています。サービス・プロバイダが個々の顧客の要件に応えるには、複数の SD-WAN ベンダー、セキュリティ・ベンダー、その他のネットワーク・ファンクション・ベンダーを受け入れ、マネージド・サービス・カタログの一部に組み入れる必要があります。

マネージド・サービス・プロバイダがさまざまな業界分野からの多様な要件に対応し、個別にカスタマイズできる余地を残すためには、第 1 世代の SD-WAN よりも高い柔軟性が不可欠です。第 2 世代の SD-WAN は、まさにこの点において、極めて優れた特性を発揮します。

第 2 世代の SD-WAN

は、NFV 原理をベースとするマルチベンダー・ソリューションです。このアーキテクチャは、uCPE (ユニバーサル顧客構内設備) 上に構築され、SD-WAN アプリケーションを VNF (バーチャル・ネットワーク・ファンクション) として実行します。

顧客構内で SD-WAN やその他のネットワーク・ファンクションを仮想化することで、サービス・プロバイダは、専用のネットワーク・アプライアンスを使用せずに、ネットワーク・サービスのデプロイと管理を行うことができます。uCPE が提供する汎用インフラストラクチャは、顧客構内の中心でソフトウェアを完全に集中管理する機能を備えています。サービス・プロバイダは、顧客構内にデプロイされた uCPE を通じて、SD-WAN、セキュリティ、ルーティングを含むあらゆるネットワーク・サービスの提供、インストール、管理、交換を行うことができます。現場にわざわざ足を運んだり、技術スタッフを現地に常駐させたりする必要はありません。

サービス・カタログの作成

Building a service catalog for managed SD-WAN services using different requirements for different market segments
マネージド SD-WAN サービスのサービス・カタログの要件

uCPE アーキテクチャは、ホワイト・ボックス・ハードウェア、バーチャライゼーション/マネジメント・レイヤ、VNF、オーケストレーションで構成されています。これらは基本的なビルディング・ブロックであるため、サービス・プロバイダは業界分野に特化したサービスを構築する際に、自由に調整することができます。それぞれの業界分野の要件に応じて、複数のベンダーによるコンポーネントを組み合わせて設定することにより、異なる特性や機能を持つサービスを作り上げ、それをカタログとしてまとめます。上図をご参照ください。これは、uCPE プラットフォームがもたらす柔軟性なしにはできなかったことです。

マネージド・サービスのプロバイダは、業界分野別のサービス・カタログを利用して、各業界分野に高価値サービスを訴求できます。さらに、個別のエンド・ユーザー向けに若干のカスタマイズを行って調整すれば、より付加価値を高めることも可能です。

結論

私がオランダのハーグでこの講演を最初に行ったときに、Enea も、uCPE 上でオープンソースのセキュリティ機能と SD-WAN VNF を動作させるという、マルチベンダー PoC のデモを実施しました。このイベントで私の同僚や他のネットワーク専門家とも議論したのですが、次世代エンタープライズ・ネットワークの提供を目指すキャリアやサービス・プロバイダにとって、オープンな uCPE プラットフォームの柔軟性とマルチベンダー性が極めて重要であるということで意見が一致しました。