NFVがテレコム・オペレータにもたらすメリット

Eneaの製品管理部門ディレクタであるUlf Bragnellに、NFVのトレンド、特にテレコム・オペレータにとってのvCPEのメリットについてインタビューしました。また、商用ソフトウェア・ソリューションの内状についても話を聞きました。

エンドユーザーから動画など大量のデータ転送を伴うサービスへの需要が急速に高まっています。こうした現状において、ネットワーク・アクセス・レイヤにおけるテレコム・オペレータの課題とは一体どのようなものでしょうか?以前と比べ、どのような変化が起こっていますか?

データ・トラフィックの増大とともに、アクセス・ネットワークのスループット要件は急激に増加しました。このことは、NFVがネットワーク内のどこで利用されているかによって、NFVにとっての意味合いが変わってきます。

モバイルネットワーク内のCO(セントラルオフィス)やエッジPoP(ポイント・オブ・プレゼンス)といったデータ集約ポイントで利用される場合、総データ・スループットが各サーバーで非常に高くなります。一方、データセンターで利用される場合には、スループットの問題はあまり生じません。

COの場合、これにより、スイッチ交換やパケット処理が大きく制限されることになります。近い将来、ハードウェアのアクセラレーションが間違いなく必要になると予想されます。これを推進する一つの方法として、プロセッサやsmartNicsへのアクセラレーションの組込みがあります。また別の選択肢として、一部のアプリケーション(vBRASなど)のデータ・プレーン全体を、VNF内のコントロール・プレーンを維持するハードウェア・アプライアンスにオフロードする方法もあります。この点が、スイッチのみで十分だと皆が考えていたNFVの創生期とは大きく異なります。

NFVがテレコム・オペレータにもたらすメリットにはどのようなものがありますか? また、テレコム・オペレータにとってのNFVの問題点とは何でしょうか?

目に見えるメリットは、NFVを展開する過程で生じてくるものであり、NFVをどこで利用するかによって異なります。

コア・ネットワークの場合、NFVはOPEX(運用コスト)の面でより多くのメリットをもたらします。CAPEX(設備投資)の削減は極めて限定的なものであることがわかっています。また、NFVは多種多様なベンダーに市場の門戸を開くことにより、競争を促します。これにより、ベンダーはスタックの各レイヤでイノベーションを起こすことができます。

ネットワーク・エッジ、特にCAPEXの利益を増大できるvCPEにおいては、状況が若干異なりますが、やはりここでも、主な原動力となるのは、リモート・マネジメントによるOPEXの削減や新たに収入を生み出すサービスです。こうした新しいサービスは、以前非常に高額である上に、新たなハードウェアボックスを購入して設置してから導入する場合がほとんどだったため、導入の難しさが課題となっていました。vCPEにより、新しいサービスをリモートから導入したり、自動化することが可能になり、一部ではセルフサービス化も進みました。

テレコム・オペレータは、VNFとVNFマネージャの導入という重要な課題に直面しています。これに加えて、サービス保証とセキュリティという課題もあります。この2つの課題はこれまであまり議論されてきませんでしたが、近い将来極めて重要な領域になると予想されます。特にセキュリティについては、EneaのQosmos製品によるDPIソリューションを利用することで対応可能です。

今年に入り、EneaとChina Mobile(CMCC)は、CMCCのオープンなNFVテストラボにEneaのOPNFVベース製品を導入することで合意し、契約を締結しました。この協力関係には、どのような要因が貢献したのでしょうか?

Enea NFV Coreソフトウェア・プラットフォームは、パフォーマンスとオープン性を最適なバランスで両立させています。オープンソース・コンポーネントをベースとすることで、特定ベンダーへの依存性を最小限に抑え、オープンソース・コミュニティ内でのイノベーションの再利用を最大限高めます。

ただし、プロダクション・グレードのNFVプラットフォームに必要なOpenStackやその他のオープンソース・コンポーネントは、例えば、Linuxのようなものとは異なります。実際、これらはLinuxに比べて非常に複雑で、しかもまだ未成熟です。そうした意味では、Linuxの足下にも及ばないと言ってもいいでしょう。キャリアグレードのNFVプラットフォームを構築するには、適切なプロジェクトの適切なバージョンを採用し、適切な方法で構成して検証するための高いスキルや豊富なノウハウが必要です。私たちは、その両方を備えています。

オープンソースのコンポーネントの組み合わせで最大のパフォーマンスを達成するにはどうしたらよいか? Eneaの専門知識は、まさにその点に集約されます。私たちは、最適化したオープンソース・ソリューションが、市場で最高クラスのプロプラエタリ・ソリューションと同等、あるいはそれ以上の実力を発揮することを証明してきました。高可用性は、その一例です。私たちは、コミュニティから得たオープンソースの青写真をベースに、適切なオープンソース・コンポーネントを使用して、完全なソリューションを実装しています。こうした技能の真価は、適切なコンポーネントを特定し、それらのコンポーネントを統合・試験した上で完全なソリューションとして構築するところで発揮されています。

また、Eneaが高い競争力を維持している第一の要因は、ARMベースとx86ベースの両方のサーバーをサポートしていることです。また、第二の要因として、主要なNFVオープンソースプロジェクトであるOPNFVにおいてEneaが強固な基盤を持っていることも重要です。Eneaは、China Mobileとともに、キー・イネーブラーとしてOPNFVのトップ10コントリビュータに名を連ねています。

5G/LTEが業界の注目を集めていますが、5G/LTEネットワークの構築とビジネス開発に関する提案として、どのようなことが考えられるでしょうか?

私たちは、5GがNFVの重要なユースケースの1つになると考えています。私たちのRTOSソリューションEnea OSEは低レイテンシと高パフォーマンスを特長とするため、L2での処理に最適です。

L3やサービスサイドにおいては、レイテンシとパフォーマンスを最適化したEnea NFV Accessソフトウェア・プラットフォームを利用して、5Gシステムの高レベル・アプリケーションを実行できます。

アンテナに近接した装置にNFVプラットフォームを導入する場合、テレコム・オペレータはエンドユーザーのすぐ近くで新たなサービスを導入できます。  

Eneaの業界における最大の強みとは何でしょうか?

企業としての高い次元から見た場合、特定のハードウェアに依存しない、独立系のソフトウェア・ベンダーであることが、企業を差別化する上で最大の強みだと考えています。こうした立場にいるからこそ、お客様にとって最適なパートナーであれば、どの企業とも手を組むことができます。私たちは市場のいかなるハードウェア/ソフトウェア・ベンダーにも縛られることなく、x86やARMサーバー、あるいはホワイトボックスや単一使用アプライアンスに対応しています。

Eneaの2番目の強みは、テレコム分野における豊富な経験とネットワーキングに関するノウハウです。私たちは、Qosmosを通じて最先端のネットワーキング・ノウハウを獲得する一方で、30年以上にわたるテレコム大手各社との協力関係により、この分野でさまざまな実績を積んできました。

また3番目に、EneaはARMエコシステムの主要コントリビュータであることが挙げられます。テレコム・オペレータがコストと消費電力の削減を目指す中で、ARMは競争力を急速に高めています。