GET THE EDGE - ARMベースのNFVインフラストラクチャによる効率化

Robert (Bob) Monkman氏(ARMネットワーキングソフトウェアストラテジー & エコシステムプログラム担当シニアエンタープライズマーケティングマネージャー)へのインタビュー(聞き手:EneaのErik Larsson)

Erik Larsson(Enea)(以下EL):市場トレンドにより、どのようなNFVインフラストラクチャの課題が生まれるのでしょうか?

Bob Monkman(ARM)(以下BM):5Gと仮想化の進化が同時進行する中で、インフラストラクチャの最適化と効率性に対するニーズは一段と強くなっています。5G そして2020年に向けて、競うようにしてアクセスポイントを増やしているため、ネットワークは、まずはより高い帯域と大幅な低レイテンシ化という2つのプレッシャーにさらされることが予想されます。5GとNFVを同時に導入するとオーバーヘッドが生じます。このため、物理的施設と固定パワーエンベロープを備えた既存のデータセンターを利用する必要があります。つまり、適切な密度を達成するには、単位電力当たり、単位設置面積当たりのパフォーマンスを大幅に効率化することが要求されます。

EL:解決策としては、どのようなことが考えられますか?

BM:ARMのテクノロジーとエコシステムは、これらの高効率化の実現に貢献しています。この新しいネットワークパラダイムを踏まえ、私たちは、コンピュート密度を3倍に高め、主要ワークロードを最大10倍加速することを目標としています。また、他のソリューションに比べてメモリの帯域幅を6倍、インターコネクトを最大4倍にすることで、具体的な処理能力の効率化を実現することができます。多コア化によるスケーラビリティーに、電力効率とネットワーク負荷の軽減を組み合わせることにより、全体として極めて高い効率性を得ることができます。

EL:このような効率性の実現について、いくつか例を挙げていただけますでしょうか?

BM:高コンピュート密度については、例えばCortex-A72などのコンパクトコアと最適化されたL2キャッシュがあります。これはSoCソリューションにおいて、コンピュート密度を2~4倍高めることができます。

ワークロードの効率化に関しては、ARMのパートナーやSoCライセンシーの各社がアクセラレータ(パケット処理、暗号化、トラフィック・マネジメントなど)の提供で長けた実績があります。最近のNFV PoCでは、ネットワーク負荷の軽減により、最大10倍のネットワーク効率化を達成した例もあります。さらに、ジッタを80%軽減したことで、ソフトウェアのみによるソリューションに比較して決定論的パフォーマンスに寄与し、結果としてレイテンシを大幅に低下させることができました。つまり、こうしたことはすべて、vCPE(仮想顧客構内設置装置)のコスト削減など、真の意味での経済的な効率性の実現につながっているのです。

EL:Pharos NFV PicoPodについてお話しいただけますか?

BM:PicoPodの特長は、密度とスペースの効率性です。世界最小のOPNFV Pharosポッドとして、開発者が簡単にアクセスできるNFVIプラットフォームです。20立方フィートのスペースを必要とする20 Uラックの代わりに、NFV PicoPodはわずか1立方フィートですみます。言わば、小さな箱に収まったデータセンターのようなものです。私たちとしては、NFVを大衆の手にもたらすものと呼びたいですね。

EL:コンテナによるアプローチについてはいかがでしょうか?

BM:コンテナは、仮想化で効率性を実現するにはとても優れた方法です。昨年、OPNFVコミュニティでは仮想化への取り組みが拡大しました。コア内のKVMベースのVMをOpenStackで管理する方法は従来から行われていますが、最先端を走る人々は、マイクロサービスを提供するために、Kubernetesなどのコンテナ型仮想化に代表される軽量なソリューションを求めています。こうした方法は、POCや試用版の段階にあります。このコンテナ型仮想化による方法では、コンテナにゲストOSが存在しないため、メモリのフットプリントが減少し、VMを使用した場合にくらべ低リソースの割に高密度が実現でき、Kubernetesなどを使用してVNFのデプロイを迅速化することもできます。実際、私たちは、ARMベースのNFVI上でコンテナ化したVNFによるPOCを構築しましたが、vCPEのユースケースで問題なく動作しています。

EL:ARMのエコシステムとはどのようなものでしょうか?

BM:ARMエコシステムは、NFVインフラストラクチャのスペース、パワー、パフォーマンス、コストの面で、明確な効率性を提供することを目標としています。2017年5月、私たちは、ARM Infrastructure Developer Ecosystem(AIDC)の起ち上げを発表しました。専用ポータルは、https://developer.arm.com/markets/infrastructure/arm-infrastructure-developer-community です。

このポータルは、次世代型データセンター、クラウド、ネットワークインフラストラクチャに対応するビルディングブロック、ソリューションプロバイダー、ドメインエキスパートを見つけ出すリソースとなります。

このソリューションライブラリには、パートナーが執筆した次世代型インフラストラクチャに関するホワイトペーパーやソリューション概要が収録されます。開発者リソースには、ハードウェア開発プラットフォーム、ソフトウェア、オープンソースプロジェクトが含まれます。

 

EL:ARMとEneaはどのようなパートナー関係にあるのでしょうか?

BM:Eneaは、ARMのエコシステムの創設パートナーの一社です。Eneaは、技術的なインテグレーションサービスとともに、開発したソフトウェアのテストや検証目的のためにPharosラボを開発者向けに提供しています。

ARMとEneaは、何年も前からコラボレーションを続けています。2015年、Eneaは、ARMハードウェア向けのOPNFVアーキテクチャを初めて構築し、最初の「Arno」リリースを提供しました。また、OPNFVの「Pharos」仕様に準拠した世界初のARMベースのNFVラボの提供も開始しています。また2017年第2四半期、Eneaは、ARMとMarvellと連携して、OPNFVをNFV PicoPodにポーティングしました。現在、Eneaは、10個以上のポッドを備えたマルチアーキテクチャのNFVラボをホストし、NFVIプラットフォームテクノロジー分野で世界クラスの実力を発揮しています。

EL:Bobさん、今日はどうもありがとうございました。